・スポンサーサイト ・「苦役列車」西村賢太☆☆☆☆ ・「赤ヘル1975」重松清 ☆☆☆☆ ・「何者」朝井リョウ ☆☆☆ ・「町長選挙」奥田英朗✩✩✩✩ ・「舟を編む」三浦しをん✩✩ ・「頼山陽」見延典子☆☆☆☆ ・「松林図屏風」萩耿介 ☆☆☆☆ ・「鉄の骨」池井戸潤 ☆☆ ・「魂萌え!」桐野夏生 ☆☆☆☆ ・「悼む人」天童荒太 ☆☆☆☆ ▼もっと見る

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カテゴリ:書評:小説のエントリー一覧

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  • 「苦役列車」西村賢太☆☆☆☆

    「そろそろ風俗に行こうかと思っていたら、芥川賞受賞の電話が来た」という何とも人を食った受賞の弁で世間を沸かせた(?)西村氏の受賞作である。西村氏のウリは中卒、そして父親が性犯罪の加害者として服役したことらしい。さてこの作品だが、帯に「平成の私小説家、ついに誕生」とあるが、主人公の名か「北町貫多」である。著者のペンネームをもじったことは一目瞭然であり、中卒で現場作業員をしているところなんぞが「私小説...

  • 「赤ヘル1975」重松清 ☆☆☆☆

     1975年というより、昭和五十年と元号で呼んだほうが私にはしっくりくるのだが、カープの奇跡の初優勝の軌跡(韻を踏んでみました)を縦軸に、転校生マナブ・野球少年のヤス・漢字が苦手なユキオの三人の中学一年生の友情を横軸に展開する物語である。主人公はマナブだから、「よそモン」を自覚するマナブの視点で物語は進むが、昭和五十年当時の広島の雰囲気がよく描かれ、「原爆文学」としても一級の作品だと感じた。 しか...

  • 「何者」朝井リョウ ☆☆☆

     就活生の日常を書いた小説だが、この本を読んで、SNSに毒されている最近の学生が可哀想に思えてならなかった。私はブログこそやるものの、FACEBOOKもtwitterもやらない。やらなくてよかったとつくづく感じた。友だちの輪を広げるためなのか、さびしくてなのかは知らないが、「建前」として日常の雑事を細々と書き、そして本来ならば日記かノートにでも書きなぐっておけばよいものを、おそらくは「お前は特別な人間だ...

  • 「町長選挙」奥田英朗✩✩✩✩

     小説の面白さというか、醍醐味を充分に堪能できる短編集である。また最後の「町長選挙」を除く三つの短編が、ナベツネ・ホリエもん・黒木瞳とそれぞれモデルが想像でき、それぞれがパニック症候群・若年性アルツハイマー・アンチエイジング恐怖症という病を患い、精神科医のとぼけた伊良部先生を訪ねるという「お決まり」の設定も面白く読める。ただタイトルにもなった「町長選挙」だけが異色で、この作品にはマスコミを賑わすよ...

  • 「舟を編む」三浦しをん✩✩

     辞書を編纂するマジメ(馬締)くんという出版社勤務の男性の物語である。マジメくんの辞書に傾けるオタッキーな情熱は面白く読めたが、それは「情念」、例えば「司馬遷は生き恥をさらした男である」と武田泰淳が「司馬遷ー史記の時代」の冒頭で喝破したような、どろどろとしたものでも枯れたものでもなく、「趣味」の延長に過ぎない。またマジメくんは素晴らしい辞書を世に出したいという思いは強いが、それによって日本語に何か...

  • 「頼山陽」見延典子☆☆☆☆

     中国新聞に二年ほど前に約二年連載されていたのを、読んだり読まなかったりしていたが、このほど上下二巻をかなり時間をかけて読破した。内容は、山陽の人間性がかなり丁寧に書きこまれ、また彼を取り巻く家族や友人・知人などとの交流、女性関係、時代背景などもよくわかり、面白かった。特に筆者が女性であることに関係すると思われるが、山陽の妻の梨影(りえ)や、山陽の女弟子の細香(さいこう)との相克が面白く読めた。 ...

  • 「松林図屏風」萩耿介 ☆☆☆☆

     安土桃山時代の画家、長谷川等伯について書いた小説である。物語は本能寺の変から始まる。 私は史実を平均台のようにとらえ、その上で演技する体操のような歴史小説が好きなのだが、本作品はまさにその願いどおりだった。それに何といっても表現・文章がうまい。文体は淡々としているが、それでいてところどころが実に熱いのは、うなるばかりだった。 作品は等伯と等伯の息子である久蔵、それに中流貴族である入江義晴の三人の...

  • 「鉄の骨」池井戸潤 ☆☆

     池井戸氏の作品を読むのは、「空飛ぶタイヤ」に続いて2作目である。「空飛ぶタイヤ」が面白かったので、この作品もかなり期待して読んだが、正直がっかりだった。話が古い、何年前の話を書いてるんだというのが、偽らざる感想である。それに資料調べがかなり甘い。私は建設業界の人間ではないが、入札や談合についてはそこそこ調べた経験があるだけに、失望を覚えずにはいられなかった。 具体的に列記すれば、まず電子入札では...

  • 「魂萌え!」桐野夏生 ☆☆☆☆

     桐野作品を読むのは、弁当工場に勤める女性が死体損壊に手を染める「OUT」、東電OL殺人事件を題材にした「グロテスク」、新潟少女監禁事件を彷彿とさせる「残虐記」についで、この作品が4本目である。女性作家でクライムノベルを書かせたら、高村薫氏や宮部みゆき氏と並んで、桐野氏もはずずことはできないと考え、畏敬の念を私は抱いている。しかしながらこの作品はこれまで私が読んだ三作品と異なり、まったく犯罪をモチ...

  • 「悼む人」天童荒太 ☆☆☆☆

     死者を悼む、しかもまったくの見ず知らずの死者を地方紙などから探し出し、その死亡現場で悼む行為を続けながら旅をする男の物語である。この小説の構成はかなり凝っている。まずプロローグで「悼む人」の簡略が紹介されるが、読み進むとそれがある週刊誌の契約記者のサイトに寄せられたメールだとわかる。また本章の見出しは、目撃者・保護者・随伴者・偽善者・代弁者・傍観者・捜索者・介護者・理解者というように、すべて「者...

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