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「オリンピックの身代金」奥田英朗 ☆☆

 奥田英朗氏は「最悪」「邪魔」、それから精神科医の伊良部シリーズを読んでいる。中でも「最悪」が最も面白かった。好きな作家の一人である。
 さて本作品だが、「著者の新境地にして最高傑作、誕生」の帯コピーに期待して読んだが、期待ほどではなかった。
 物語は犯人の東大院生島崎と、テレビ局勤務の須賀、落合刑事の主に3人の視点で進められ、各章の前には何年何月何日と記載されている。しかし、これが必ずしも時系列に沿っていないので、最初はかなり混乱した。読み進むうちに慣れたけど。
 昭和39年という東京オリンピックが開かれた年の時代考証についてはよく調べてあり、雰囲気もよく出ている。しかし、私がこの作品で不満に感じたのは、犯人である島崎のオリンピックを妨害しようという動機づけが弱いと感じた点である。東北の貧困や、異父兄の飯場での死が書かれているが、それらが飯場での肉体労働の従事や、さらにオリンピック妨害に至るには論理的に飛躍があるように思え、私は共感できなかった。それにもっと不満なのは、島崎がヤクザを殺害してもたいして心を痛めない点や、ヒロポンを打ちながら精神を高揚させるくだりである。薬物追放が声高に叫ばれる今、たとえ小説とはいえ、犯人が薬物で気分を落ち着かせて犯罪を行っていては、たとえ小説であっても、読者は犯人に感情移入するのは難しいんじゃないだろうか。それから疑問に感じた点として、虚無僧に変装し、尺八の中にダイナマイトを隠して会場に近づくといったシーンなどがある。そんな格好してたら、かえって目だってしまうんじゃないだろうかと。
 リーダビリティに優れ、読ませる作品ではあるが、作者は時代考証に重点を置き、ストーリーの整合性についてはやや軽んじているように思えたので、お勧め度としては2である。
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