RSS

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

「舟を編む」三浦しをん✩✩

 辞書を編纂するマジメ(馬締)くんという出版社勤務の男性の物語である。マジメくんの辞書に傾けるオタッキーな情熱は面白く読めたが、それは「情念」、例えば「司馬遷は生き恥をさらした男である」と武田泰淳が「司馬遷ー史記の時代」の冒頭で喝破したような、どろどろとしたものでも枯れたものでもなく、「趣味」の延長に過ぎない。またマジメくんは素晴らしい辞書を世に出したいという思いは強いが、それによって日本語に何か革命を起こそうなどという大それた「野望」は抱いていない。それゆえこの作品からは、あたかもフィギュアに夢中になったオタクのライトノベルかのような印象を受けざるをえなかった。
 また彼を取り巻く人物も、例えば妻になる香具矢(かぐや)や、先輩の荒木、同僚の西岡、日本語研究者の松本先生など、それなりに個性的に描かれているが、あまり魅力は感じられない。
 さらに「ぬめり感」と呼ばれる紙質にこだわる印刷会社の話も出てくるが、電子辞書が普及した現在では、紙の辞書は「衰退」するであろうという視点からはいっさい描かれていない。
 この作品は本屋大賞を受賞し、帯にも書店員の絶賛するコメントが描かれているので、本好きの一人として過ぎ去った時代を懐かしむ「ファンタンジー」として読めばそれなりの感動は得られるかもしれないが、それ以上のことをこの本から得ようという読者にはお薦めできない。
スポンサーサイト
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。