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「何者」朝井リョウ ☆☆☆

 就活生の日常を書いた小説だが、この本を読んで、SNSに毒されている最近の学生が可哀想に思えてならなかった。私はブログこそやるものの、FACEBOOKもtwitterもやらない。やらなくてよかったとつくづく感じた。友だちの輪を広げるためなのか、さびしくてなのかは知らないが、「建前」として日常の雑事を細々と書き、そして本来ならば日記かノートにでも書きなぐっておけばよいものを、おそらくは「お前は特別な人間だ」と誰かに認められたくて、本音を別アカウントを使って書き、毒を吐く。その姿はあまりに痛々しい。観察者として「高みの見物」を決め込むつもりが、その姿が逆に「観察」され、暴露される姿はあまりにみじめだった。さらに正論を吐く女と、ただ黙り込む男という構図が2パターン描かれているが、これもまた現代の若い男女の力関係を描いたものであろう。
 ただこの作品は小説としてはかなり浅い。人物造形も物足りないし、ストーリー展開もさほどわくわくさせる点はない。しかしこの作品は「読ませる」ものがある。それは一重に作者の才能によるものであろう。特に就活生の現状と心情を活写しているという点は評価できる。就活がつらいのは落ち続けることに慣れなければならないから、そして「何者」でもない自分を、「何者」かであるように演じ続けならないからという表現には感心した。しかしSNSという便利なコミュニケーションツールを手にしたために、かえって「不便」になってしまった人間関係など、もっと「深く」書けるモチーフなのに、軽い文体を意識したためだろうか、書き飛ばしているという印象を抱いたのが残念である。もっと「事件」を起こしてほしかったというのが、正直な感想である。
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