RSS

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

「獄窓記」山本譲司 ☆☆☆☆☆

 「塀の中の懲りない面々」の著者である安部譲二氏によれば、「刑務所に入って、真人間になって出て来た奴は、江夏豊と山本譲司と、この俺の三人しかいない」そうだ。この発言の主眼は刑務所に入っても矯正は難しいと言いたいんじゃなく、「この俺」にあると思われる。
 それはともかく、この「獄窓記」は著者の山本譲司氏が公設秘書給与流用疑惑で逮捕され、詐欺罪で実刑判決を受け、服役し、出獄するまでが赤裸々につづられている。
 民主党の若手ホープとして菅直人代議士の秘書を務め、歌手の山本譲二(司と二の部分だけ異なる)の「みちのくひとり旅」を歌いながら人気を博した(もちろんそれは人気を拡大させた一因に過ぎないだろうが)山本氏は、民主党ブームに乗って衆議院選挙に当選し、議員バッヂを手にする。だが二期目の彼を待っていたのは、写真週刊誌による秘書給与を個人的に流用している(かつら代にあてているといった)告発だった。山本氏は個人的流用については否定するも、事務所経費にあてていたことは認め、詐欺罪で東京地検に逮捕される。地裁での判決は執行猶予の付かない懲役一年六ヶ月の実刑だった。
 控訴を勧める弁護士に、山本氏は控訴せず、服役を選択すると告げる。「たった一度の人生、刑務所生活を味わってみるのも悪くない」と山本氏は弁護士に告げる。しかし妻と生後三ヶ月の長男と別れての服役である。姉には「かっこつけるな」「つっぱりはほどほどにしなさい」と、山本氏は獄中への手紙で叱られる。
 執行猶予を求めず、服役を選んだ山本氏の行為は、それだけ罪を認め、罰せられるべきだと考えていたからに他ならない。責任逃れに終始し、地位に恋々とする政治家が多い中では賞賛すべきであると思う。後日、同じ疑惑で逮捕され、一審で懲役二年・執行猶予五年の有罪判決を受けた社民党の辻元清美氏は塀の上を歩いても内側には落ちず、いまは代議士として復権していることを思えば、山本氏の服役を単に「かっこつけ」「つっぱり」だと非難するのは、身内はともかくとして、他人は憚るべきであろう。
 この著作には受刑生活の日々が細々とつづられているが、驚きだったのは「寮内工場」と呼ばれる身体障害者・知的障害者といった社会的弱者の服役生活の描写である。
 なかなか窺い知ることのできない受刑生活について克明に記述されており、また一人の男の生き様とそれを支える家族の物語としても、一読に値する好著である。獄中の山本氏と妻との往復書簡は300通を超えたそうだ。やはり、人間が生きるために必要なものは「愛」じゃなかろうかと、そんなことを考えさせられた。
スポンサーサイト
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。