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「前田の美学」迫勝則 ☆☆

 カープの前田智徳について書かれた本である。前田が2000本安打を放った2007年の10月に出版された。迫氏の著作を読むのは、「広島にカープはいらないのか」についで、二冊目である。
 誤解を恐れずに書くが、私は前田を一流の選手だとは思うが、イチローや落合博満のような超一流選手だとは思っていない。それは意外にも前田が首位打者を獲ったことがないからや、優勝を一度しか経験していない(1991年、前田入団二年目)からじゃなく、前田がアキレス腱を切断するというケガのためにその才能を充分に発揮し、その才能と努力にふさわしい結果を残したとは思えないからである。
 この著作では前田のバッテイングについて、イチローが憧れて背番号51(前田の入団時の背番号)をつけ、落合が「真似していいのはオレじゃなく、前田のバッテイングだ」とl語ったことなどが取り上げられている。また「孤高の天才」「打撃の職人」「サムライ」などとと評される前田について、「前田智徳は、誤解されている」というポスターが広島市内を走る広電に掲げられたエピソードとともに、前田の実像に迫ろうとしている。だが厳しいようだが、この著作が前田の実像に迫れたかどうかについては、否定的な見解を抱かざるを得なかった。
 前田については、かつて打点王に二度輝いたルイスロペスが中前打を打ったのに、二塁走者の前田が本塁へ帰還できず、ロペスが前田をなじり、ロペスだけが厳罰に処せられた事件(この件があってかロペスは福岡ダイエーホークスにトレードされた)や、江夏豊が「足の悪い前田をレフトで使っているうちは、カープは強くならない。前田はDHのあるパリーグに出してやるべきだと」発言し、この発言を受けてか、前田もパリーグ行きを希望し、福岡ダイエーホークスとほぼドラフトに合意したが、結局は交換選手と釣り合いが取れずに、交渉が決裂した件など、前田の「痛めた足」に関するエピソードはまだいくらでもあるのに、この著作ではいっさい触れられていない。これらことを書かなかったのは著者である迫氏の「美学」か、それとも前田への配慮かはわからないか、一人の人物を著作として描く場合は、「私は前田の熱烈なファンである」といった自己の思いではなく、前田という人間の光と影、さらに内面までもっと迫って書いてほしかった。そのためにはロペスとの一件や、前田が実はドラフト時にホークス入りを希望していたことなど、カープファンならあまり耳にしたくない話まで、あまさず言及すべきじゃないかと感じた。
 それにこの著作では「サムライを育むチーム」という章を設けて、黒田博樹・津田恒美・高橋慶彦・江夏豊・山本浩二などのカープを彩ったサムライたち(なぜか衣笠祥雄ついては書かれていない)の解説や、ブラウン監督のベース投げ退場事件や、赤いハンカチ王子と称された斉藤悠葵についてまで書かれている。しかしこれら総花的な言及は、「前田の美学」というタイトルから逸脱し、ただの「カープ賛歌」に堕しているとしか思えなかったので、この著作のお勧め度は☆2つとさせていただきたい。
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